2017年8月22日火曜日
解
使っていたネックレスのチェーンを絡めてしまって、どうにもならないから直せますか?と頼まれる事がある。
余程の場合は職人さんに回すのだが、大抵の場合は、30分もあれば解す事が出来る。
この場合は、20倍のレンズと、貴金属用のピンセットを使うのだが、お代をいただくのも恐縮なのでサービスにしている。解く(ほぐす)仕事だ。
着物は、洗い張りを頼まれると、職人さんに回して、先ず解いてもらう。
解き洗いとも呼ぶ。
洋裁に使う糸が絡まると、これは、引けば結び目が出来てしまうし、切ってしまうに限る。
ながく仕事をしてきて、一番苦心した事は、見えない物を解す事だった。
人の心が凝り固まってしまったり、関係が拗れた場合に、糸口を探して解かねばならない。
チェーンや糸も同じだが、繊細なものほど、解くのは困難になる。
人の心や人間関係は、とても繊細なのである。
喜怒哀楽の感情の他に、思い込みやら、言葉の行き違いやら、様々に絡まって、しまいには迷路のように絡まってしまう。
拗ねたり穿ったり、投げやりににもなるし、厄介なことだと思う。
いっそのこと、切り捨ててしまえば楽にも思えるが、蟠り(わだかまり)が残る。
しかし、人の心や関係は、いくら絡んでしまっても、必ず隙間があるものだと思う。
そして、人には意思がある。
ここが無機質の物と違うところだ。
其々の意思で、この蟠りを解く事が可能であるし、自分自身の心が固まった時にも、解くことが可能だ。
会話する事、考える事、そのような事を積み重ねてゆけば、切り捨てる事無く解くことが出来る。
解 (とく・ほどく・ほぐす) 同じ文字で何通りにも読む
生きてゆく中で、自らに問いかけて自ら解決することもしばしばだ。
それをサボれば解くのには時間がかかり、習慣づければ、絡むのを防ぐことが出来る。
紆余屈折の人生であっても、人との関係が拗れても、解く事さえできれば、それぞれは繋がった一本となるのである。
色も、材質も、太さも、1つとして同じものは無い人生という糸が、時に交差しながらもスッと伸びている様を想像する。
陽に透かせば、意外にも美しい綾(あや)の模様が浮かび上がるのである。
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