何か良い言葉は無いものか。
Tが、貯金をスロットマシンの餌代にして失った時にかける言葉だ。
ギャンブル・病気等の言葉を使うのを止めている。
戻された通帳を見れば、使途は一目瞭然だが、それも訊かない。
先日は、「いつ和歌山に帰るの?」と、帰る事が出来なくなった事を知らない大きい姉さんが、キッチンでTに訊ねていた。
そのような時には、大きい姉さんにLINEで伝える。 「ギャンブル。残高ほぼ無し。帰省出来ない。スルー」
目の前に居るのに、声に出して話せない場合に、LINEがこんなに便利だとは思わなかった。
しかしだ。Tに対して無言と言うのは不自然だ。
無視されたと思わせるのは良くない。
実は、通帳とカードを渡してから2日経った頃、アタシはTがギャンブルに行ったと気付いていた。
大きい姉さんもだ。
帰省の予約が取れ、シェーバーを買ってきたら、「良かったね」と言うつもりだったが、それは無いと判って、通帳とカード返却の期日だけ決めたわけだ。
今回は、「帰省出来ないね。また預かるね」とかわしたのだが、しっくり来ない。
それからずっと、また同じ事がおこった時にかける言葉を考えていたのだ。
Tの貯金は、小遣いの余剰とボーナス時に、一時的に増える。
スニーカーもボロボロ。自分で買いに行くと言うかもしれないし、また帰省する気になるかもしれない。
それが、どの位本気なのかは判らないが、見ている限りにおいては、減った分を、ギャンブルで戻そうという気持ちの方が強いようだ。
という事は、また残高が無くなる可能性の方が高いわけだ。
あなたはギャンブルに使ってしまうから、スニーカーも帰省の予約もアタシがやりますよとは言わないと決めた。
鬼のような形相になるからだ。
肯定でもなく、否定でもない言葉。
そこで思いついたのが
「残念だったね」だ。
非常に曖昧な言葉だ。
共感や励ましとも取れるし、場合によっては嫌みにも聞こえるだろう。
だから、あくまでもサラッと言わねばならない。
サラッと「残念だったね」と言えるか?
言える。
アタシは言える。
言えてしまうのだ。
今回の 行けなくなっちゃったねも、サラッと言った。
Tは翌日、自分の小遣いで、ジャスミンティーとアクエリアスを買ってきた。大きいボトルだ。
これは、Tからのお礼だ。
詰問しないでくれてありがとう。大きい姉さんに言わないでくれてありがとう。ギャンブル依存症じゃないと信じてくれてありがとう。 ひっくるめて、優しくしてくれてありがとうのお礼なのである。
今後も、残高ゼロになっても、同じように対応してくれるに違いない!ありがとう~~~。なのである。
Tは、人を自分の味方か敵かで判断する習性がある。若い頃からだ。
時に厳しい助言でも、根底に期待が込められている場合がある。
しかしTには、厳しさしか伝わらない。、根底の期待を察する事が極端に苦手だ。
残念だったねとサラッと言うアタシの気持ちは、きっといつまでも判らないだろうと思う。
そのかわり、飲み物のお土産くらいは買って来る事が増えるかもしれない。
その時は、ありがとうと言おう。
サラッとではなく、丁寧に。
Tの上機嫌は続いている。
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