2017年7月9日日曜日
蓄積
子供が3才を過ぎる頃から、行動範囲はグーンと広がる。
この時期から、親はよく考えて行動する必要がある。
子供と何処へ行き、何をするか。
成長過程にある子供の心の吸収力は凄まじい。
好奇心も旺盛だ。
世界にはいろいろな人々がいて、様々な事をして生きている。
未知なる世界が広がっている。
こんな世界があるんだよ、こういう人たちは居るんだよと、見聞きさせてあげることは、
子供の人格が形成される中で、思考の幅を広げ、情緒の器を豊かにしてくれるのだ。
例えば、ピアノを習わせようと親は考える。
何故ピアノなのか?
実は、ここが重要だ。
何故ならば、音楽の世界はピアノだけではないからだ。
歌だってある、他の楽器もある、和楽だってそうだ。
数ある音楽の世界から、ハーモニカを習いたいと思う子供が居ても良いわけだ。
謡曲だって良い。
生の音を聞かせ、色々な世界へ連れ出して体験をさせる。
心に感じさせてあげる。
幼稚園の年長の頃だったか、台風で暴風雨の中、アタシは母に連れられて
ボリショイバレエを観に行った。
演目は くるみ割り人形であった。
当時はコンテンポラリーダンスを習っていたのだが、トゥシューズに綺麗な衣装のクラッシックに憧れていた。
しかしだ、実際にボリショイバレエを観た幼かったアタシは、
バレリーナのトゥシューズがカタカタと音を立てることに驚いたのである。
これは、テレビやビデオでは判らない事だったのだ。
子供が、自ら何かに興味を持ち、選ぶ地盤を固めてやらなければいけない。
大人になってからでは、なかなか難しい事だ。
幼児期から小学校くらいまでの数年はとても大切なのである。
お決まりのテーマパークに直行ではもったいない。
商業施設での遊びは、消費と引き換えの与えられた遊びだからだ。
孫のマコシンが3才半だ。
ヤドリギでは自然に触れ合うことが出来る。
木々が風に揺れる音、畑の匂い、野菜を育てるじーじやバーバが働く姿、
収穫の楽しみも体験できるはずだ。
都心に住むアタシ、渋谷のオバァチャマに出来ることは限られている。
来週には、小さい姉さんとマコシンがやってくる。
こんな都会でどう過ごすか?
アタシも小さい姉さんもマコシンも、一緒に楽しむ数時間。
体験は、学校で教わる勉強とは違い、心の器に感動の記憶として刻まれてゆく。
なるべく良質な文化に触れさせることが大事だ。
その積み重ねが、将来、趣味が無い、やる事が見つからないという事態を回避させてくれると信じている。
それは、お小遣いの使い道を考える事にも繋がるだろう。
2000円でゲームセンターに行くか、映画を観るか。
この違いは大きい。
短絡的な快楽を選ぶか、感動を蓄積して行くか。
これは、大人になってから、ギャンブルのような遊びを自ら回避出来るかどうかにも繋がるのである。
子供は人間の種だ。養分を秘めた小さな可能性の種なのである。
そこから伸びる目を見逃さずに、時に水を与え、肥料を施し、
必要があれば支柱を立ててやれば良い。
個性の芽を摘み取ってはいけない。
レールを敷いてはいけない。
親が想像しているのとは、全く違う大輪の花を咲かせるかもしれないのだから。
しっかりと大地に根をはり、個性の花を咲かせる日を見届けてやれば良い。
親にとっても祖父母にとっても、開花を待つ事は楽しみな事なのである。
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