まこちゃんがロクロックビを怖かったように、オバアチャマにも怖いものがありました。
まこちゃんとおなじ3才くらいの時からずっとズットです。
それは 犬 です。
オバアチャマが子供の頃は、お家の回りにも公園や空き地にも、飼い主がいない犬がたくさんいました。
野良犬と呼ばれていました。
野良犬には、ご飯をくれる飼い主がいなかったから、野良犬たちは、自分でご飯を探し歩いていたんです。
ごみ置き場に捨てられた食べ物を食べたりしていました。
オバアチャマにもお母さんがいました。
お母さんは、まだ子供だったオバアチャマに、よく、おつかいを頼みました。
1番怖かったのは、お肉屋さんへのおつかいです。
犬は、お肉やコロッケが大好きです。
犬はとっても鼻が良いのです。
遠くにいても、オバアチャマが買ったお肉の匂いがわかるのです。
そして、お腹がすいていると、ものすごい早さで寄ってきます。
オバアチャマは、なんとか犬に気づかれないように、お肉を抱えてお家まで走って帰りました。
ところが、まこちゃんも知っていると思うけれど、犬はかけっこが早いです。
人間よりもズーーッと早く走れます。
オバアチャマは、犬が欲しがっているのはお肉だと知っていたけれど、買ったお肉をもって帰らないと、お母さんに叱られてしまうので死物狂いになりました。
目をつむって涙を流しながら走りました。
そうしてオバアチャマは、だんだん大きくなったけれど、中学生の時に、
また犬に追いかけられました。
その時は、大切なお小遣いで買ったチョコレートまんじゅうを持っていました。
学校の帰りに買ったのです。
学校にお小遣いを持って行ってはイケナイ決まりがありました。
だけどオバアチャマは食いしん坊で、100円玉を持っていたのです。
チョコレートが大好きだったからです。
帰り道にあった公園のブランコに座って、チョコレートまんじゅうを食べようとしたら、大きな野良犬が近づいてきました。
大きな犬は、ウーッウーッとうなりながら、オバアチャマに飛びかかって来ました。
このままでは犬にヤッツケられてしまうと思ったオバアチャマは、
大切なたいせつなチョコレートまんじゅうを投げました。
力をふりしぼって、遠くの方に向かってエーイと投げたのです。
涙がポロポロあふれました。
怖い気持ちと、チョコレートまんじゅうを 犬 に取られてしまったことが悲しかったからです。
だけど、この事を、お母さんには話せませんでした。
どうしてかというと、学校でイケナイ事になっている100円を持っていたことがバレてしまうし。
そのお金でチョコレートまんじゅうを買った事もバレてしまうからです。
オバアチャマは、45才になるまで 犬 が怖かったのです。
45才の時に パズーに会いました。
パズーは動物を売るお店やさんに並べられていたのです。
野菜やお菓子みたいに、動物を売るお店があるのです。
オバアチャマは 犬 のような動物に値段をつけて、売るのは良くないと思いました。
とてもかわいそうな気持ちがしました。
動物を売るお店にはお客さんが来ます。
そして、人気がある 犬 を選んで買うのです。
パズーはまだ赤ちゃんだったけれど、誰も買いませんでした。
人気が無かったからです。
だからオバアチャマは、人気が無くて寂しそうにしていたパズーを思い切って買ったのです。
10年前のお話です。
その日から、オバアチャマは 犬 が怖くなくなりました。
犬 も笑ったり悲しんだり、我慢をしたりする可愛い生き物だと判ったからです。
オバアチャマは、これからはもう 犬 をお店やさんで買わないつもりです。
チョコレートまんじゅうは買うかもしれないけどね。
パズーにも、パズーを生んだお母さんが居ると思います。
パズーが元気に暮らしているか心配しているかもしれません。
だから、おかあさんのかわりに、オバアチャマはパズーを一生懸命育てています。
オバアチャマが育てる 犬 は、パズーが初めてで、そして最後です。
そう決めています。
まこちゃんが、また遊びに来たら、このあいだみたいに、パズーを可愛がってあげてください。
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