2017年7月28日金曜日

ご家族様へ


 もう一通の封書が届いた。

ご家族様へ

ご家族とはTのことだ。
義姉が入院している病院からの連絡である。

Tの姉は還暦を越えている。
メンタル疾患での入院歴は、既に30年なのだ。

内容は、高齢になり、メンタル以外の疾患のリスクが高まっている為、他疾患での受診や入院の際には、家族であるTが付き添い、入院手続等をしてくださいね・・という内容だった。

実際に、メンタル疾患で命を落とすことは殆どない。

現状では既に、若干の内臓疾患の傾向があるようなので、病院としても放って置くわけには行かないわけだ。
何度も面会してほしいと連絡が来ていて、この夏こそと思ったら来ない。
きっと困っているに違いない。


姉自身は、福祉のお世話になって居るので、出費がものすごく嵩むことは無いと思う。
が、保険適用外の医療は実費だ。
故郷までの旅費や滞在費、その他諸々の出費は覚悟しなければならない。

アタシがではなくて、Tがである。

それは明日かもしれないし、来年かもしれない。

何れにしても、備えあれば憂いなしと言う。

この備えが、Tには無いのだから、一体どうするつもりなのだろうか。

読んだTは、この手紙をポ~ンと机に放り出したまま、やはり昨夜もテレビを見ていた。


勿論、アタシの事を知ってはいるが、姉はアタシの事が大嫌いなのだ。
度々、恨み節の手紙が届く。

アタシが莫大な借金を抱えて、それを仕方がないから一緒に返してやっていると、Tはそのように説明しているからだ。

これは非常に不愉快に感じるが、特に被害は無いから黙っている。

姉にとっては、Tが唯一の肉親だ。

気の毒な事なのである。




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