大盛りの牛丼とサラダを、いつものように横向きでテレビを見ながらTは腹におさめた。
アタシは耳をそばだてる。
のらくらと皿洗いをサボリ出したTが、今日は洗うかを、音で聞き分ける為に。
チョロチョロと水の音がしたが、すぐに止まった。 またか! 何故決まりごとを守れない?
揃っての食事ならば、まとめて片付けもするが、うちはみんなバラバラなのだ。 それに、家事は、食事を並べるところまでと決めてある。
今日もサボリか…そう思った時、大きい姉さんが呟いた。
「あなたのジュース飲まれてるよ」
シュワッ!
アタシにも聞こえた。
アタシがアタシの小遣いで買っている、最近お気に入りのメロンソーダだ。 小さいペットボトルの。
アタシのジュース飲んだ? 既にベッドに転がっていたTに訊いた。
「喉が乾いたからさぁ。」
泡の音がシュワッ!と頭に広がり、無性に腹立たしさが込み上げる。
泡のようにふつふつと怒りがわく。
僕の物は僕の物。あなたの物も僕の物気質。
何十年もそうだった。
必ず泡を吹かせてやる。
この寄り掛かり気質が我慢ならないのだ。
あと2年半。
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