2017年9月12日火曜日
KIMONO IROIRO 虫干し
着物は、年に2~3回は虫干しをする。
風を通すという事なのだが、土用干しなどと言っても、今の日本では、湿度が低く空っと晴れる季節が短くなってしまった。
暦に頼らず陽気を見て、しばらく袖を通していない着物などから湿気を抜いてあげる。
10月から11月あたりは良いかもしれない。
すっかり仕舞い込んでいた物を、整理しながら虫干しの準備をしている。
クローゼットや桐たんすを開け放って、積んである着物の順番を変えるだけでも随分と違うものだ。
時間があれば点検をして、虫食いやシミなどが無いかどうかをよく見る。
そうして、裏の変色などが見つかったら、それは放っておくと広がってしまうから、思い切って洗いに出す。
5年に1度くらいは、虫干しのついでに、もう若くなって着ないかもしれない着物や、締めない帯をより分けると良い。
人は当たり前に歳を取るから、いくら好きな色柄だって、やがては似合わなくなってしまうのは止めることが出来ない。
派手だと思う着物は、色を掛ければ地味な色目に変えることも出来るのだ。
50代半ばから、この先着るだろうなと思う着物と帯を、やっとの事で選り分けたら、随分と少ない事に気が付いた。
そして、少し前までは、地味すぎると思っていた物が、意外に似合う年齢になっていた。
あれやこれやと着てきたが、もう、好きだと思う物は変わらないようだ。
色も柄も邪魔になって来て、むしろ、小物に色味があれば、もうそれで良いと思う。
藍地に宝相華紋の名古屋帯だとか、男縞の唐桟、童子柄の長襦袢、好きな博多献上等、よっこらと選り分けていたら、こんな時間になってしまった。
着物は、準備にも時間がかかるが、着た後と、この虫干しをさぼるといけない。
ゆったり構えてやらないと、せっかく着物好きになっても、結局は着ない人になってしまう。
和服は、畳むとコンパクトだが、結構重い衣類だ。
この重さを感じ、手入れの作業を愉しむ余裕があれば、着物は50年経っても、清々と美しいままでいてくれる。
直射日光に当たらない、風通しの良いところに、数日提げておけばよい。
9月単の時期もあと半月。
10月からは、いよいよ袷の季節になる。
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