2017年9月29日金曜日
趣味と道楽
ここ数ヵ月、ずっとベランダに干してあるのが紙だ。
これは白い時もあり、今は茶色い。
何故茶色いかと言うと、柿渋を使ったからだ。結構臭い。
大きい姉さんが干していて、出勤前と帰宅後、そして休日はほぼ紙に向かっている。
凝り性であり、文具に拘りがあるらしいのだが、気に入る物が見つからないそうで、だから作っている。
布、革、紙、あらゆる素材と、道具などが揃っている。そして増える。
趣味は何かと訊かれたり、何かに書かなければならない時には本当に困る。
大方、映画鑑賞だとか読書だとか旅行だとか、ヒントになりそうな趣味が挙げられているが、じゃあ手芸かと言うとそうでは無いのである。
そもそも、人が仕事や家事以外の自由時間に何をして過ごそうと、他人様に迷惑さえかけなければ何をしても良いと思っている。
疲れがたまって居たら、寝て過ごすのだって、立派な時間の過ごし方だ。
趣味は何か?と聞く人には、何の意図があるのだろうかと不思議に思う。
勿論、園芸だとか詩歌だとか、そういった趣味らしい趣味をながく楽しんでいる人は良いと思うのだが、大きい姉さんにしてもアタシにしても、何かを作るのは好きだが、ずっと生地や紙に向かっているわけではないのである。
作る物は度々変わってしまうから、手芸の粋を出てしまう事も多い。
一貫していえる事は、自分が気に入るかどうかという事なのである。
編み物好きな人が、しこたま毛糸を買い込んで、マフラー、帽子、次はセーターと、そんなふうに編み物を続けるのとは違っている。
むしろ、同じことを繰り返すと飽きてしまう。
1年中何かを作ってはいるのだが、次に何を作るかは全くの未知で、また何か作りたくなったら作る、それだけなのである。
今は衣類の整理に夢中だから、制作活動は休止している。
気持ちが箪笥の中身に向いているわけだ。
趣味と言うより、きっと道楽であろうと思う。
自由時間に思いついたことをする。何もしないとつまらない。そういう道楽だ。
しかし、遊びではない。真剣だ。
気に入るまで続けなければ気が済まない。
アタシ「柿渋ずいぶん濃い色になったね」
大姉「今度は油ぬってるの」
アタシ「あ、そう」
大姉「着物は終わったの?」
アタシ「まだ。」
大姉「あ、そう。」
仕事でいつも居ないから、会話はこの程度だ。
お互いに、何かをやっているらしいことは知っているが、深くは訊かない。
興味の対象が違うという事だ。
共通しているのは、良いものは高いよねということだ。
材料にしても道具にしても、良いものは高いのである。
そういう時だけ、どうせなら良い材料と道具を使おうよねと、そこだけ意見が一致する。
情報交換はするが、あまり立ち入らない。
趣味も道楽も、その人にしか解らない世界なのである。
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