2017年10月6日金曜日

薫る



引き出しの整理を進めている。

小間物が結構あって、使わずにとってある物も多く、どれも棄てるには惜しく、それに邪魔にはならない。

仄かに懐かしい香りが漂ってきた。

桐の小箱を開けたら、松笠と葉の帯どめが出てきて、ここから漂っていることが判った。

白檀の帯留めである。

母の整理ダンスには、一番上に小引き出しがあって、子供の頃には手が届かなかった。

そこには、良い物好きだった母の小物が納められていて、シルクや革の手袋、コンパクトなど、宝物のような物が入っていた。

懐かしさを感じたのは、扇子である。

その小引き出しの中には、繊細な細工がされた白檀の扇子があり、それは少し癖のある、けれど甘い匂いだった。

小さい時分には、洋扇子の色柄の方に心惹かれたものだったのだが、今になってみると、この繊細でいかにも大人にしか解らない匂いの良さを好ましく思う。

香りという直接的な匂いではなく、もっと抽象的な、時を経ても変わらないような抽象的な匂い。

薫りと現した方が良いだろう。

香木の味わいが解る歳になった。
そして、香りと薫りの違いも感じられる。
この帯どめを使う事にしよう。随分以前に買い求めて、一度も使っていない。

それにしても、あの薫る扇子は何処へいったろうか。
美しい扇子だった。

手元には、黒の洋扇子しか遺されて居ないのである。

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