3種で絞めた筈が4種目になった。
お雑煮の話である。
今夜のお雑煮は、薬膳中華卵雑煮。
全部漢字で書くと、中国語のようだ。
にんにくと生姜を炒めて香りを出し、水を加える。
具材は、水煮筍、干し椎茸、長ねぎ、白菜、ほうれん草、人参。
そこに、蒸してから割き、胡麻油で炒めたむね肉と松の実、くこの実を入れる。
上湯と塩、少しの薄口醤油で味を調え、溶き卵を回し入れる。
世間さまからは正月気分は抜けているようだが、まだ5日なのであるから、お正月である。
そこで、初春の華やぎを醸し出す為に、卵は、黄身と白身に分けてから流し入れてみた。
黄身はより黄色く、白身はより白く、まるで水仙の花のように鮮やかだ。
普通に混ぜたらクリーム色になってしまって、一気にお正月気分が無くなってしまうのである。
最後に七味で辛味を加えて出来上り。
美味である。
実に美味である。
小さい頃から、小さい姉さんはお餅が好きだった。
理由は判らないが、お餅と聞くと目を輝かせていたのである。
その日は、Tの職場で餅つきがあり、つきたてを持ち帰ってくるのを待っていた。
食卓にはお皿と箸を並べ、席について待っていた。
ところが、その年は、お餅が余らず、Tは手ぶらで戻ってきたのである。
何で?貰えるって言ったじゃん! 待ってたんだよ。どーすんのよ‼
煮えたぎる怒りを言葉にして、Tを罵倒していたら、顔を赤くしてうつむき耐えていた小さい姉さんの目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
その涙はやがて滝のようにゴーゴーと流れ出し、シャクリアゲテ泣き出して止まらないのである。
アタシも大きい姉さんも、お餅が来なかった事の無念さと、意地でも持ち帰る事をしなかったTに対する怒りはあったが、それは号泣する程では無かった。
だから、シャクリアゲテ泣く小さい姉さんが、余りにも哀れに感じて、これほどまでにお餅が好きならば、毎週土曜日はお餅を食べる日に決めたのであった。
意外に高かった餅つき器は、時間ばかりかかる割に出来上がるお餅は少なかった。
これっぽっち⁉マジで?ジェンジェンタリマシェーーン。
そうこうしているうちに、小さい姉さんも、お餅は主にお正月に食べるものなんだと判るくらいに成長したのであった。
考えてみると、そんな小さい姉さんが、毎年杵と臼で餅つきをする環境で育った男性と結婚した事は、実に幸せな事だ。
まさか、結婚の条件には入っていなかったとは思うが、お正月にお餅つきをすると知った時は、号泣レベルの歓びだったに違いないのである。
長々と書いたが、今夜の薬膳中華卵雑煮が美味だった事、そして、小さい頃からお餅好きだった小さい姉さんは、とても粘り強い性格に育ったということが伝えたい2つの事。
お雑煮屋になろうかな……。日本各地のお雑煮が食べられるお雑煮専門店
もっちもち屋
流行る気がする。
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