2017年1月26日木曜日

ある男の物語り 為す術無し

昨年12月初旬、ミスターTにボーナスが支給された。 毎年6月と12月に決まっている。
 半期分の固定資産税を支払い、赤字になった分の補填をし、弁済の為の予備資金を確保したところ、数万円の余裕が出た。
残高0になっていたTの口座に、僅かだが定期預金をして、不測の事態に備えて一万円は普通預金口座に入金した。
昨年、九州に出張した際に、飛行機に乗り遅れ、皆な当日便のエアチケットを立て替えて買った際に、Tはカードも現金も無くて、同行した職場の人に借りるという事態が起こったからだ。
ひと様に迷惑をかける訳にはゆかない。
しかし、アタシのカードを渡すわけにもゆかない。
師走は忘年会などの飲み会が多く、家計の予備資金がギリギリになった。
 それなのに、Tは小遣いを使い果たしていた。
新年早々、給料日まで2週間近くある時点で小遣い0。
新年会等が重なり、通帳とカードを渡した。
昨日がやっと給料日だったので、2月までの割り振りをして、やっとまた小遣いを計上した。

アタシ「次の給料日まで考えながら使わないと、また途中で無くなるよ。無くなっても使途不明なお金は渡せないんだからね。」

T「解りました。」

アタシ「じゃ、通帳とカードを返してね。何かあった時に渡すから。」

T「………」

何度か催促して、やっと備蓄した通帳とカードを受け取った。

使っている。
普通預金残高0どころか、数字にマイナスがついている。
つまり、数万円の定期預金からも引き出している。 年末から数千円づつで、1月24日は1日5回も引き出しているのだ。
1日に5回もATM?
ギャンブルだ。

アタシ「パチンコだね、この引き出し方は。」

T「……戻すつもりで……」

アタシ「貴方が不測の事態に使う為の貴方の貯金なんだからさ。それで良いと思うならば好きなように使いなよ。無くなっても補充は出来ないけどね、6月まで」

為す術無し。

アタシはミスターTのギャンブル依存を治そうなんてことは考えていない。
アタシと大きい姉さんのお金を使わなければそれで良いと思っている。
困るのはT本人なんだから。
時々確認すると ギャンブルはやっていません!と答える。
そういう嘘と、残業したふりをして、遅い時間に帰宅する旨のメールが来るのだけが、腸がニエクリカエルように腹立たしい。

メールは毎日[終わりました。職場を出ます。]

職場を出るんじゃなくて、パチンコ屋が閉店するんだろうよ?
時計を見れば、あ、今日はパチンコだな…くらいのことは容易に察しがつくのである。

今年から、9時を過ぎたらご飯は自分で温めて食べるように伝えた。
帰りますとメールすれば、帰宅した時にご飯が並ぶと思ったら大間違いだ。

為す術無し。為す術無し。
年齢から考えると、ミスターTの真っ当な人生ってやつはもう取り戻せないと思う毎日なのである。

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溶き卵

 菜箸を使わずに、手早く黄身と白身を混ぜます。 おたまを器の底につけたまま回すだけ。菜箸を使うのが面倒だった時に、偶然このやり方を発見しました。お試し下さい。