2020年11月14日土曜日

少数派

天ぷらは、家でなんか食べるもんじゃありませんよ

と、随分前に小さい姉さんと、駅近くの老舗天松に行った時に、仲居さんに言われた。

カウンターの目の前で、プロが揚げてくれる天ぷらを口に運んだら、それはあまりにも美味しくて、仲居さんの言う通りだと思った。
しかし、アタシは結構な頻度で天ぷらが食べたくなるのである。
特に、お腹の調子が安定していると、必ず食べたくなる。

それで今夜は、久しぶりにかき揚げにした。

アタシの実家では、天ぷらは精進揚げのことで、海老だとかキス、イカのような物は一切揚げず、野菜だけであった。
それも、3分の1はさつま芋が占めていて、それをお醤油で食べるのである。

家庭でも、天ぷらは天つゆで食べるのが多数なのだそうで、次が塩。
お醤油は少数派という調査結果があるらしい。

今になって思い返してみると、精進揚げが大好物だった父と、揚げ物なんて真っ平ごめんだった母との間で、たまには揚げてあげるけれど、天つゆなんか作らないからお醤油で食べて下さいよ、という事だったのだと思う。
天つゆが市販のされていたかどうかはわからないけれど、調合された調味料を使わなかったから。

なかなか精進揚げが食卓に乗らないと、父が台所に立っていた。
ザクザク切った野菜をかなり多目の油で炒めて、そこに水で溶いた小麦粉をザーッと流し込むのである。

今夜は美味いぞー。
乞食揚げだぞー、と、父が独自に名付けた乞食揚げを食べる回数の方が、通常の精進揚げよりも頻度が高かったような気がする。

そしてこれが油っこくて、お醤油をつけるというよりも、お醤油をかけて胃袋に押し込む必要性があった。

料理をする係りがアタシに移行してからは、父が精進揚げを食べたがっていることを察知しなければならず、うっかりしてしまうと、上手く誘導されて、せっかくの日曜日のお昼過ぎから、天ぷら鍋の前に立たされる羽目になった。

精進揚げくらい、いつでも揚げてあげれば良かったなんてことは、両親共にあの世に行ってしまったから思うことで、当時は嫌でイヤで仕方がなかったのである。

2人前のかき揚げは野菜のみ。
塩も用意したけれど、結局お醤油で食べました。

それから、うちのパズーは天かすが好きなので数個あげました。

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