2017年5月20日土曜日

脳という宇宙

さて、今日は銀座へ行ってきました。 アタシには非常に珍しい事に、目的は勉強会のようなものです。何のかと言うと、依存症。

先月、ギャンブル依存症の思考回路というか、脳で何が起こっているのかというような事が解明されて、論文がイギリス学術誌に掲載されたんです。解明したのは日本の大学の研究チーム。次は治療法の研究開発だそう。

英文は読めないので日本語の要約を読みました。

今日の勉強会に集まっていたのは、ギャンブル依存症だと自覚して、何とか抜け出そうとしている人々で、依存症じゃないのはアタシ一人でした。

脳に傷害が生じている、つまり本当に病なんだと言うことが判って、アタシが一番知りたかったのは、まだ医学的に治療法が無い現状で、抜け出そうとしている人々と、自覚もせず、止める努力もしないTの違い。
実際に行ってみたら何か分かるかもしれないと、かなりの勇気で申し込みをしたわけです。

そこには、言葉では言い表せないような、壮絶な闘いのさ中にいる人々が集まっていました。

そして、その人々とTには雲泥の差があったのです。

どの方も、もう止めなければ!というどん底を経験していて、自ら止める努力を始めたり、また、中には、既に長い年月、ギャンブルから離れている方もいらっしゃっいました。

借金が返せなくなったり、友達を無くしたり、親から縁を切られたりと、どん底を感じた状況は人其々。
そして、その殆ど全てをTは経験しているわけです。 更に、借金の金額がTは並外れて高額でした。通常は100万辺りからヤバイ!と思うようですから、10倍ってことになります。

最近Tは、また食べた後の食器を洗わなくなっています。朝で良いやと思うのか、誰かが洗うと思うのかは分からないけれど、継続が出来ません。

講師の方と少しお話しさせていただく事が出来たのですが、Tはやはり残念な事に、依存症以外の疾患があると確信しました。
つまり、Tは、どん底を感じる能力が無いのです。これだけの債務を抱えているにもかかわらず、今朝も職場からお金を借りると言うような事を言っていました。

定年までの2年半が、とてつもなく長く感じて、暗澹たる気持ちで帰ってきたと、そういう1日でした。
家族にも見捨てられ、日雇いの仕事で身をたてながら、必死に止めようとしている白髪のご老人は、なんと私と同じ年でした。少ない収入の中から、講師の方へお礼のお菓子を買ってこられていて、それが参加者に配られました。 アタシも1つ戴きました。人としての礼をわきまえた精一杯の気持ちのお菓子を、アタシはもったいなくて食べられません。 Tは、職場から持ち帰った駄菓子を、自分だけで食べて、ゴミは置きっぱなしです。
腹を立てても仕方ないので、アタシは、Tは病人なんだと毎日思いながら、なるべく平淡な気持ちで切り抜けようと思います。

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