るみちゃんは一緒にバレエを習っていたお友達で、足にかなり目立つ火傷の痕がありました。
るみちゃんの母親は今で言うシングルマザーで喫茶店を経営していたこともあり、家事と育児をお手伝いさんに任せて働いていました。そのお手伝いさんは独身の女性でした。
お手伝いさんは誤って、まだ赤ちゃんだったるみちゃんに火傷をおわせてしまったんだそう。それで責任を感じて、生涯独身でるみちゃんを育てる決心をしたんだそうです。
るみちゃんは、実母をママ、育ての親をお母さんと呼んでいました。 バレエのレッスンに付き添って来るのはお母さんで、「お母さん、早くママのとこに帰ろうよ〜」なんて言うもんだから、事情を知らなかったアタシは(?_?)って感じだったんです。
アタシの母は、よくアタシを他人に預けました。だから、ワケもわからず人様のお宅に泊まったりご飯をいただいたりしていたのです。 ある日アタシは、るみちゃんとママとお母さんと一緒にお寿司やさんに行くことになりました。(回転式じゃないよ、昭和四十年代前半なんだから)
カウンターに座ると、何でも好きな物を食べなさいって感じで、アタシは小さな声で「たまご」とか「カッパ」とかを注文しました。
しかしです!るみちゃんは「エンガワ〜」「ギョク」「ゲソ」…と、アタシが全くワカラナイ物をどんどん注文して美味しそうに食べていました。ママとお母さんに囲まれて嬉しそうだった。
アタシはそんな事があるたびに、世の中ってやつを学んでいったのです。
とても可愛い顔をしていたるみちゃんは今どうしているだろう。ママとお母さんは元気かな。
何度か同じような機会があり、アタシもゲソを注文出来るようになり嬉しかったです。
※名前が思い出せないので仮にしました。
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