2015年2月17日火曜日

アケちゃんの思い出

アケちゃんは、一緒にバレエを習っていたお友達でした。途中でやめてしまったけれど。 アタシはある日、母に言われてアケちゃんのお宅に遊びに行きました。 アタシの家は6畳二間のアパートで、寝る時には押入れが寝床になるような状態で、座卓が置かれた部屋の柱には、ネズミが出入りする小さな穴まで開いていたんです。昭和40代では珍しくもない事でした。
指定された時間にアケちゃんのお家に着きました。大きなドアがある一戸建てで、玄関を入ると目の前に2階に続くお城みたいな階段がありました。
アケちゃんの部屋は2階の右側で、真っ白な壁には色々なタレントのポスターが貼ってありました。 廊下に面したトイレは、婦人用と殿方用に分かれていて、まるでデパートみたいだと思いました。 どんな遊びをしたのかは全く覚えていないんだけれど、ノックの後にドアが開いて、白いエプロンをした女性が「おやつの時間ですよ〜」と入って来ました。アタシはその時、イチゴのショートケーキかもしれない!とワクワクしたのですが、テーブルに乗せられたのは…ナイフとフォークがついたバナナだったんです。
その時の衝撃は今も忘れる事が出来ません。だって、アタシはバナナをお猿さんみたいに食べていたから(今だってね)。
アケちゃんは、ナイフとフォークを使って見事にバナナを食べていました。アタシは「今はお腹が空いてないの」と言いました。
何年かして、アケちゃんは私立の中学校に行ったと聞きました。 更に数年後、アタシは高校生になっていて、町のイトーヨーカドーでフラフラ寄り道をしていました。
その時、突然名前を呼ばれて振り返りました。 アタシを呼んだのはアケちゃんでした。髪にウェーブがかかっていて、大人と同じお化粧をしていました。 その時の衝撃も忘れる事が出来ません。
あとで聞いた話しでは、アケちゃんは高校を途中でやめて結婚したそうです。
母に聞いたところ、「ほら、お正月にしめ縄飾るでしょ?あれを作る親分さんと結婚したのよ、アケちゃんは。」だそう。
今なら、オレンジの頭でアタシが衝撃を与えられるんじゃないかと思っています。

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早く着き過ぎた

銀座で休憩中。 早く着き過ぎた。 しかし、なんでイッセイミヤケのバッグ、行列出来ているんだろう。