弁護士先生からの受任通知を、食卓に置いておいた。
郵便物は目に入らないらしく、いつものように、帰宅後3分もしないうちに食事を始める。
仕方がないから、改めて封筒を手渡した。
アタシ「事実婚解消の協議ね、進まないから、私 弁護士さんを代理人にお願いしたの」
T 「そう。〇〇先生(任意整理の時の)は、忙しいもんね」
特に驚いた様子もなく、テレビを見ながら食べている。
アタシ「今後は、直接じゃなくて、弁護士さんを通してね。それと、最初はあなたから電話をいれてね。」
T 「連休あけの月曜日に電話する。火曜と水曜はずっと会議なのよ、僕」
それからまたご飯を食べて、ふとこちらを向いた。
T 「僕達の弁護士だよね?」
アタシ「私の代理人。話し合う内容は双方に関することだけど、私の代理人弁護士さん」
T 「 僕の話しも聞いてくれるんだよね?」
僕達という捉え方は、間違ってはいないけれど、やけに嬉しそうというか、ホッとした様子なのが奇妙である。
大きな不安も無さそうで、むしろ良かった良かったと、そんな顔をしているのである。
僕達。
この人は、ずっと 僕達 という単位から 自立していないのかもしれない。
それが、早く結婚したせいなのか、Tが10代で母親を亡くしたせいなのか、実姉に溺愛されてきたせいなのか、或いは若干の発達障害のせいなのかはわからないけれど。
僕達は、いつも同じ方向を向いて生き、僕達は、大抵のことで相違ない考えを持ち、僕達は、僕達は、、、 運命共同体。
いずれにしても、協議に弁護士先生がついてくれた事は、T にとって 、大変喜ばしい事だったようだ。
先が思いやられる。
また、先生にタメ口で話したりしてしまうんだろう。
憂鬱。
そんな事を考えていたら、パズーが首を傾げた。
パズーにも何か違和感があるのかもしれない。
頭の良い犬だ。
T は、食事を終えてから、しきりに通帳を返してくれと言いだした。
銀行に、住宅ローンの相談をするからと。
そういう事も全部含めて協議するんだから、勝手に何かしないでねと伝えた。
つまり、協議が何かをよくはわかっていないらしい。
ある男の物語 最終章はどうなる事やら。
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