神泉の踏み切りに向かう角を曲がったら
「黄色?いつもお洒落だねぇ」
と声をかけて下さいました。
「晴れてるけど何だかひんやりするよね。今からさ、お線香あげに行くの。黒い羽織り物が無いから白着て着ちゃったんだよ。いいよね、大往生だしさ。そうそう、そこのトシって軽食屋のおじいちゃん、店閉めた途端に亡くなったからさ。 いやー、いつか声をかけようと思ってたんだよ、あんたに。 あたしもお洒落好きでさぁ。 ほら、焼肉屋の隣のとなりで居酒屋やってるんだよ、30年。東京で初めて吟醸酒を呑ませ始めたのがうちなんだよ。 この辺りは肉屋も魚屋もみんな閉めちゃったけどさ、うちはたまたま飲み屋だったから続いてるのさ。 寄りなよね、お総菜分けてあげるからさ…」
さくらという居酒屋さんのママでした。若い頃は洋裁やってたんだって。 死ぬのは怖くないって。近所の商売仲間がどんどんあっちへ行っちゃうから、次は自分の番だっていつも思うそう。 髪を綺麗にまとめて、真珠の一連つけて、ブラックフォーマルのワンピースを着て、焼香に向かわれました。 いつか寄らせていただきますね。
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