2015年6月6日土曜日

小池先輩の思い出

アタシは小学校の6年生で、隣の席になった男の子がとても好きになって、担任の先生に「卒業まで席替えをしないで下さい!」と直談判に言ったら、なんとすんなり認められて、初デートは徒歩圏にあったスケートリンクでした。
一緒にウイスキーボンボンを食べながら
スケートを楽しんだのですが、好きになった理由は、水泳の競技大会で、水しぶき1つあげずに飛び込む姿があまりにも美しかったからです。何でその男子生徒が、半年間も席替えをしない事に抗議をしなかったのかは、未だに不思議です。何故なら、その男子生徒は、決してアタシを好きな訳ではなさそうでしたから。
15歳で中学に入ったアタシは、2年上の小池先輩に一目惚れしてしまいました。 色白で小柄で、成績優秀でフォークギターをつま弾いているような優しげな人でした。中学3年にもなると、男子生徒は大人とかわらないくらい背も高くて体格も良く、もうオジサンみたいに見える人も居ましたが、アタシには違和感がありました。 通学路が同じだった事もあり、ある日アタシは、小池先輩に交換日記をして欲しいと頼んでみました。小池先輩は「受験があるから毎日は書けないけど、それでも良かったら。」と言ってくれたのです。 ノートは深緑の表紙で、小池先輩が用意してくれました。 何を書いたのかは全く記憶に無いのですが、アタシは日記を書くと、帰りがけに3年生の下駄箱まで行って、小池先輩の下駄箱の中に入れました。 日記が戻って来るのは、朝の通学の時で、それは毎日ではありませんでしたが、前を歩いている小池先輩が振り返った時にアタシが見えると、日記を通学路途中にあったお宅のブロック塀の上に置いてくれるのです。置かれ
たのが見えたら、アタシは走って行って日記を取り、鞄に入れました。
日記の中身は覚えていなくても、そのやり取りは夢のように楽しかったので、アタシは、学校の成績が悪くても、そんな事は取るに足らない事だと思っていました。
アタシは、小池先輩がどんなにカッコ良くてイカした先輩かをよく母に話しました。
母は「あんたが好きになる男の子って、何でみんな高島屋の人形みたいなのよ。軟弱な男はダメよ。」というような反応でした。
そして、「放課後、小池さん家の塀に昇って、2階の部屋を見上げてるって本当なの?ほどほどにしなさいよ。」と言いました。
アタシは、確かに、何度も小池先輩の家の近くに行きましたし、陽当たりの良さそうな2階の部屋の窓を見上げていました。それは、日記に、2階の部屋が自分の個室だと書かれてあったからです。でも、塀によじ登ってまで眺めた事は無かったので、随分な作り話をする人がいるものだと憤慨していました。
そうこうしているうちに、小池先輩は受験が近づいて、交換日記はいつの間にか終わりになりました。志望校に合格したと聞き、卒業式の日に、学ランのボタンを貰いに行きましたら、「学園祭においで」と言いながらボタンをくれました。
秋になって、アタシは友達と小池先輩の高校の学園祭に行きました。 色白で華奢だった小池先輩は、なんと、ラグビー部に入っていて、真っ黒に日焼けした上に、キン肉マンみたいな別人に変化していました。 アタシは、違っちゃったなぁと思いました。
母にその変化を伝えましたら、愉快そうに笑いました。
フルネームさえ思い出せない30年前の初恋の思い出です。携帯電話など無い時代の事ですが、直筆の交換日記には、現代のメールとは違う楽しさと重みがあったと思います。 追記しておきますと、アタシは今でも、どこか未成熟な雰囲気を持った人に惹かれる傾向があるような気がします。 50過ぎて未成熟!? 高島屋の人形…。 天国で、母が転げ回って笑ってるような気がします。
そう言えば、恋人でも夫婦でも、お互いが向き合っている時間が長いほど相手の欠点が見えて嫌になるのが早くなると聞いた事があります。 長続きの秘訣は、お互いを見るのではなくて、並んで同じ方向を見ながら歩き、向こうに見える景色の話をしたり、同じ星を観ながら「星が綺麗だねぇ」「ほんと。綺麗ね」 ってな感じが良いそう。
もちろん、最初から別の方角を見ていたら、その時点でアウトってことになりますね。
アタシは、星を観ながら 綺麗だな…と呟いている人を、相手には判らない所から観察しているのが好きですので、アウトどころか、論外ってことになりますね。
※思い出は長文になりがちなので軽く書いてみました。

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